
以前にも教えたことを何度も聞かれると、イラっとすることってありませんか。
自分の受け持つ工程に配属されてきた新人を指導するAさん。
手順や作業の急所を丁寧に説明しても、相手はいっこうに覚える気がありません。作業手順を誤ればケガをする危険もあるし、品質にも影響を与えてしまいます。
何度言ったらわかるんだ……
もっとまじめにやってくれよ。
ついつい、苛立ちが口調や表情に表れてしまいます。
「感謝」と「笑顔」が職場の空気をよくする――そんな話を聞いても「きれいごと」にしか思えない。
指導する側だって感情を持った人間なんだ。
何を言っても変わろうとしない相手に対して、それでも笑顔で穏やかに接するなんてできない。
苛立ちや怒りを相手に見せるのもコミュニケーションのひとつだと思う。
だから、これまでの自分のやり方も変えるつもりはない。
Aさんは、そう思っていました。
そんなAさんの気持ちは、痛いほど伝わってきました。
声を荒げたくなったことは何度もあったことでしょう。
苛立ってしまうのは自然なことです。
ただ、その感情を相手にぶつけても、それが相手に伝わるとは限りません。怒りで相手を変えようとしても、それはただ「怒られないようにする」行動を生み出すだけです。その結果何が起きるかといえば、問題の隠蔽、ごまかし、挑戦しない、言われたことしかしない人の爆誕です。
世の中の不祥事を起こした会社がどんな環境だったのか。
振り返ってみたらわかりますよね。
人の意識レベルは「環境」「行動」「能力」「価値観」「自己認識」「自分を超えた存在」から成り立っていると言われます。

「価値観」「自己認識」に近づくほど、変えるのが難しくなります。
つまり、「その人自身」を変えようとするほど難しいのです。
たとえば、よくミスをする人に対して
「注意力不足」
「もっとよく気をつけて作業して」
と言っても、なかなか変えられません。
「行動」を変えるのも、「○○という動作をこういう形でやってみて」というように、具体的な小さな行動から変化を促さなければ、なかなか変わりません。
もっとも変えやすいのは「環境」です。
注意力が不足していても、ミスしない環境ならミスは減ります。
だからこそ、私はリーダーの役割のひとつは「環境」を整えることだと思っています。
何度言っても変わらない人に望ましい行動をしてもらうには、どんな環境があればいいのか。
もちろん簡単なことではないでしょう。
でも、その人自身を変えようとしているうちは、何も変わらないのです。
わからないことがあったとき、質問しやすい環境になっているかどうか。
誰に聞けばいいかわかるようになっているかどうか。
「仕事をはやく覚えたほうが得だな」と思ってもらえる働きかけをしているかどうか。
口角をいつもより上げてみる。
そんな小さな変化でも、「環境」は変わっていきます。
あなたはどんな環境をつくっていますか。
ぜひ一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
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