失敗事例を職場全体の「財産」にするには

トラブルや失敗事例が起きたとき、どのように情報を共有し、社員に再教育していますか。

「なぜなぜ分析をしたり、手順書を見直して教育したりしても、伝わっている感じがしない」
「自分事として受け取ってもらえていない。もっと当事者意識を持ってほしい」
「再発防止に効果があるのか疑問だ」

なかなか自分事としてとらえてもらえないのは、事例が起きた経緯や原因を「説明」してしまっているから。なぜなぜ分析で、皆で改善に向けていくのはひとつの手段ではあります。でも人的なミスが原因だったときには、なぜなぜ分析をするのは避けたいもの。

「たまたま自分じゃなかったけど、自分も同じことをしたかもしれない」

社員にそう思ってもらうためには大事なことがあります。

それは「ストーリーで語ること」

今日はそんなお話です。

1.人は「説明」を聞きたがらない

会社の仕事で「ストーリー」というと、プロジェクトXのような「開発秘話」を思い浮かべますが、それだけではありません。実はトラブル事例や、誰かの失敗事例こそ、ストーリーで語るとグンとその力を発揮します。

トラブル事例や失敗事例がおきると、だいだい次のような流れで進んでいきませんか。

・経過を整理する
・原因を追究する
・対策をする
・対策の効果を確認する
・再発防止策をとる

これらの内容が、A4の紙1枚に「報告書」としてまとめられます。

再発防止策としては、手順書をつくるとか、社員の教育をするというのが「定番」です。

よくニュースでも、不祥事を起こした会社の報道の中で「周知徹底する」とか「再教育を実施する」とか言っているのを聞いたことがありませんか。

このA4の紙1枚にまとめた報告書は、「記録」として残ります。でも、「形だけ」になりがちです。なぜなら、人はそもそも「説明」を聞くことが好きではないからです。

そして、世代が移っていくと「そういうことがあったんだ」という程度でしか伝わらなくなります。

でも、トラブルや失敗って滅多に起きるものじゃないから、すごく貴重な「教材」になると私は思うんです。

誰もが経験できることでもない。でも誰もが遭遇する可能性がある。

それならば、そうした事例に対して「自分事」として向き合い、「自分だったらどうするか?」「自分も同じことをしたかも?」と考える機会を提供できれば、単なる手順書を読んだり、一方的に話を聞いて「気をつけましょう」と言われるだけより、よほど有益な情報になるのではないでしょうか。

そこで力を発揮するのが「ストーリー」です。

2.再現ドラマの主人公になってもらう

ストーリーの力を使う。
つまり、トラブル事例や失敗事例を、ありありとイメージできるようにストーリーとして残すということです。

ストーリーといっても、大したことではありません。

箇条書きで報告書に書かれていたことを、情景をできる限り詳細に描いて文章にしておくということです。

たとえばこんな感じです。

報告書だと
・〇時〇分:冷却水タンク水位低下警報発報
・生産部○○班長にメンテの有無を確認
と2行で終わる内容です。

これを文章にしました。実際に私が会社員時代につくっていたものです。


ある日、「冷却水タンク水位低下警報」が発報しました。この警報は、生産装置のメンテナンス時に時折出る警報で、しばらく時間が経つと復旧します。私は「いつものように、生産装置のメンテナンスをしているのだろう」と考えました。それで、生産部の班長にメンテナンスをしているかどうか、電話をして確認することにしました。


実際にこういう形で部下に伝えていきました。

部下からは「自分も同じようにしたかも?」「客観的にみると、思い込みで判断するのではなく、ちゃんとタンクを見にいかなければならないことがわかった」といった感想をもらいました。

文章にするとイメージがわくので、「自分がその場にいたら?」と「自分事」にしてもらうことができるのかなと思います。

「記録」ではなく「教材」「教訓」として残していきたいなら、文章の力を使ってストーリーとして残していくのがおすすめです。

それでは、また。