「質問すること」もリーダーシップのひとつ

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「リーダーシップ」という言葉に対して、どんなイメージを持っていますか。

「まとめる」「ひっぱる」「統率する」
「強い決断力」「判断力」「指導力」

色々なイメージがあると思います。

私自身は「リーダーシップ」といえば、「統率する」「引っ張る」というイメージがとても強く、「そうはなれない自分」との葛藤が常にありました。

選ばれた特別な人だけが持っている資質。
そんな風に思っていた時期もありました。

リーダーになることをためらう人の中には、こうした「リーダーシップ」に対する固定的なイメージにとらわれている人も多いのではないでしょうか。

でも、「リーダーシップ」とはもっと違うものです。

今日は具体例を挙げて紹介いたします。


企業の現場でお仕事をされているリーダー向けの研修で、講師に同行したときのことです。

冒頭、講師が自分の経歴、特にうまくいかなかった経験を中心に自己紹介をしました。

そのあと、「ここまでの話を聞いて、私に聞いてみたいこと、質問や感想はありますか」と受講生に投げかけました。

受講生は全員で36名。
6名ごとのグループに分かれています。

「じゃあ、Aグループの○○さん、質問や感想はありますか?」
「ではBグループの□□さん、いかがですか」
「Cグループの△△さんは?」
と、3つのグループに対して各グループの名簿が一番上の人を講師が指名して答えてもらいました。

皆さん急に当てられても、「確かに、そこ聞きたいよね」と思うところを質問していました。

その後、グループ内で自己紹介をして笑い声が出たり、互いの悩みに共感したりして、場が温まりました。

それから15分ほどの講義のあと、そこまでで感じたこと、自分の気づきをグループ内でシェアしました。

グループ内でのシェアを終えたあと、講師がまたこう聞きました。

「では、さっきはCグループまで聞いたので、今回はDグループの☆☆さん、ご自身が感じたことや気づきをシェアしてもらえますか」
「次にEグループの……」
と、残りのD、E、Fグループの代表に発言をしてもらいました。

3人の感想を聞いたあとのことです。

講師が「ほかにまだ意見や感想のある方は?」と投げかけました。

1秒、2秒、3秒……。

シーン……。

皆、前を向いているか、資料に目を向けて時が過ぎるのをじっと待っています。

と、ここで講師がこう言ったのです。

「こういうとき他社では発言する人がいます。私は御社で何年も研修をさせてもらっていますが、こういうときに発言する人は、今まで誰ひとりいませんでした」

そして、こう続きました。

「つまり、皆さんは受け身なんです。当てられてから答える。指示待ちなんです」

あぁ、これは耳から血が出ますね。耳の痛いフィードバックが受講者に刺さりまくっている雰囲気が漂っていました。

実はこういう場で発言して自分の気づきをシェアするのもリーダーシップなんです。

リーダーシップとは、人や組織を動かす「影響力」です。
それは「資質」とか「才能」ではなく「道具」のようなもの。

そして誰かひとりが発揮するものではなく、誰もが発揮するものです。

なぜなら、人と人は影響を及ぼし合っているから。

だから、大事なことは、目指す姿に対してひとりひとりが自分の影響力を行使すること。

あなたも参加したセミナーやミーティングでこんな経験はありませんか。
誰かが質問や発言をしてくれて

「それ、私も聞いてみたかったの。質問してくれてありがとう」
「確かにそういう見方もあるよね。発言してくれてありがとう」

自分の想いや意見を発信するのは、リーダーシップのひとつであり、他者貢献でもあります。

と、偉そうに語りましたが、私も以前に参加したセミナーで「質問することは他者貢献」という話を聞いて納得し、それ以来、必ず1回は発言をするようにしています。

さて、研修の序盤で早くも耳から血が出た受講生の皆さん。

講義が進んで、昼休憩に入る前
「ここまでのところで、質問はありますか」
と講師が再び問いかけました。

さぁ、ここは大事な場面です。

1秒
2秒

と、ここでひとり手を挙げた人がいました。

唯一の女性受講生でした。

まったく個人的な感想ですが、こういう場面を見ると、「女性リーダーが職場に増えた方がよい」という理由が垣間見えたような気持がしました。

それについては、また別の機会に書いてみたいと思います。


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それでは、また。