私の上司は人差し指1本でキーを打っていた

人との出会いが人生の転機になることがありますが、私にとって31歳の時に出会った上司はそのうちのひとり。
めちゃくちゃ型破りで、面白い上司でした。

まだ入社が正式に決まったわけでもないのに、人事との面談の前に「あなたにやってほしい仕事はね……」と、いきなり仕事の話をし出すし。風貌も、あのラーメン大好きな小池さんにちょっと似たところがある、ちょっと独特な風貌。私が抱いた第一印象は、「面白いけど変わった人」でした。

当時は上司からの様々な無茶ぶりに、胃の痛くなるようなことも日常茶飯事。「まだ私は実力が不足していて、こんな仕事をやるなんて無理、できない」と思っていても、「大丈夫、大丈夫」と、どこふく風で私を荒波に放り込む。でも、ただ放り込むだけでなく、必要なときには教わる機会をつくってくれたし、遠くで見守っていてくれました。だから私も安心して飛び込めたのかもしれません。

面談で言われた「あなたにやってほしい仕事」というのは、シンガポール工場での排水リサイクル設備の導入に関わる仕事でした。実力のある男性技術者は沢山いたのに、上司はド素人の私を担当にしました。シンガポール側の担当技術者が女性だったからかもしれません。あえて女性である私に機会を与えることで、育ててくれました。

最近、色々な方のお話を聞く機会が多くありますが、そのたびに感じるのは、「私はいい上司に恵まれた」ということです。自分が部下だった当時は、毎日必死だし、不満だってあったし、「上司だから当たり前じゃん」と思っていたりもしましたが、今改めて振り返ってみると、感謝の気持ちが溢れてきます。

「いい上司」ってなんだろう。

これからの私の務めは、その「感謝」の中身を具体的にして次に伝えていくことです。

この型破りな上司のことを書いたのは、ちょうど2年前のことでした。
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それでは、また。