【伝え方のコツ】相手に動いてもらうなら、相手のいるバス停に行こう

「子どもがゲームばかりして、勉強してくれない」
「今の若い部下は欲がなくて困る」
「アドバイスした通り実行してくれず、お客様の成果が出ない」

そんな風に、相手に動いてもらいたいのに、思うように動いてもらえないことってありませんか。

そんなときに大事なのは
「相手のバス停に行くこと」

今日はそんなお話です。

1.相手が見ている景色を見る

「相手のバス停に行く」というお話。
これは『「影響言語」で人を動かす』という本の中で述べられている、著者のシェリー・ローズ・シャーベイさんの言葉です。

「あなたの友人が、どこかのバス停でどのバスにも乗らずに、ただウロウロとしている」という状況を想像してみてください。

その人から、あなたに電話がかかってきました。
そして、こうたずねるのです。

「私はどのバスに乗ったらいいのだろう?」

あなたはどうしますか?

今どこにいるのかを聞く。
どこに行きたいのかを聞く。
どうしたいのかを聞く。
バスの乗り方を教える。
ひょっとしてお金が足りないの? と心配する。

色々な質問をしたり、何とかしてあげたいと「考えられる手段」を伝えようとするかもしれませんね。

こういうとき、電話口であれこれ聞いたり、アドバイスをするのではなく、「その人のいる所まで行きましょう」というのが、このお話の趣旨です。

これは「相手の立場から世界を見る」ということの「たとえ」です。

別の言い方をすれば、円柱を横から見た相手が「長方形」と言っているのに、自分は上から見ていて「丸だよ」と言うのではなく、自分も相手のいる位置に行って、相手から見える「長方形」を見ましょう ということです。

私たちは同じ物事でも、自分のフィルターをかけて見ているのに、「皆、自分と同じものを見ている」と思ってしまいがちです。

そうではなく、相手のいる場所に行き、相手が見ている世界を見ることが大切だということなのです。

2.どのバスに乗ったらいいのかを決めてもらうには?

「私はどのバスに乗ったらいいのだろう?」という話。

会社でよくある場面で考えてみましょう。

会社では、
「もっと自分の能力をあげたい」
と頑張る人がいる一方で、
「1日が平穏無事に過ぎていったら、それでいいわ」
「別に今さら、給料が上がらなくても、このままでいいわ」
という人もいます。

私の職場、そんな考えの方が一定数いました。
特に配置転換でモチベーション下がったまま異動してきた方とかです。

そういう方たちが、どうしたら自分の目標をつくって自分から動いてくれるだろうか。

当然、「昇進」行き、「昇給」行きのバスには乗ろうとしません。
でも、「平穏無事」行きのバスなら乗るかもしれません。

じゃあ「平穏無事」って、もう少し詳しくいうとどういう状態なのか。
そこに行ったらどんないいことがあるのか。
どうしてそうありたいのか。

何があれば「平穏無事」行きのバスに乗ろうと思うのか。
そのために今必要なのは何か。

そんなことを、相手と同じ位置に立って見ていくことが大事なのですね。

と、偉そうに書きましたが、私は30代後半のとき
「こんなモチベーションが下がった職場で働くのはヤダ」
と思っていました。それも一因で、転職しました。

その後、転職先でも、管理職になってから似たような状況に直面しました。

そのときは
「管理職だから、相手の話を聞かなくちゃ」
という気持ちがあったので、
「相手のバス停に行く」という自覚はありませんでしたが、結果的にそれができていたのでしょう。

あの手この手の質問を繰り出して、何とか「平穏無事」行きのバスに乗るための一歩を踏み出してもらうことができました。

コツは、相手の見ている世界を映像として浮かび上がらせること。

「どう思っているんですか?」と聞くより
「何をしたいのですか?」
「何があったらいいですか?」と目に見える情景や行動を聞くことです。

そうじゃないと、「見えない」ですからね。

あなたももし、同じような課題を抱えていたら、ぜひお試しくださいね。

それでは、また。