部下から「自信がない」と言われたときにかける言葉は?

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新しい仕事を部下に任せたい。
今までは客先に同行していたけれど、今回はひとりで頑張ってみてほしい。

部下の成長を考えて、思い切ってチャレンジしてもらいたいとき
「できるかどうか自信がない」
と言われたら、どう答えますか。

以前は私、こう答えていました。

「大丈夫。あなたならできるから」

全力で励ましていました。

それでも相手が浮かない顔をしていたら、「どうしてこの仕事を任せたいと思ったのか」、自分の想いを相手に伝えていました。

「私はあなたのこういうところを見て、あなたならできると思ったからお願いしたい」

そんな伝え方をしていました。

でも……

「相手の話をまったく聞いていなかった」ということに気づきました。

「励ましている」つもりで、自分の考えを押し付けていたのかも。
そう思ったのです。

そう気づいたのには理由がありました。

その頃私は、工場の省エネの担当をしていて、「この対策をしたら、これだけのコスト削減ができます」と生産部門に事あるごとに話をしていました。しかし、生産部門からは「それはそうかもしれないけれど、実行するのは難しいね」と言われ続けていました。

「こんなに効果があるのに、なんでやらないんだろう?」

私はもどかしくて仕方ありませんでした。

でもある日、一緒に打ち合わせに参加した部下が、「難しいというのは、具体的にいうと、どういう点ですか?」と質問したのです。

「色々条件が変わると、品質に影響が出るかもしれないでしょ。特に○○工程は条件がシビアなんだよ」
「なるほど。じゃあ、絶対に変えてはいけないものを具体的に教えてください」

部下はそんな風に会話を重ねて、「相手が不安に思っていることの中身」を具体的に聞き出しました。そして、その不安を解消する方法を考え、最後には生産部門から、「その条件だったら、やってみてもいいよ」と了承を得たのです。

隣で話を聞いていた私は、ガツーンと頭を殴られたような感覚でした。
私は相手の言い分をちゃんと聞いていなかったなと思いました。

それ以来、私は自分の想いを伝えるよりも前に、相手の話を聞くことに集中しました。

「できるかどうか自信がない」と部下に言われたら、心の中では「大丈夫、絶対にできるから!」と思っていても、それは口には出さず、まずこう聞くようにしました。

「自信がないと思ってるんだね。たとえば、どういう点が不安?」
「自分には無理だなって感じたのは、具体的にどういう場面だった?」

すると、部下は色々と話をしてくれました。

「不安」とか「自信」とか、漠然としすぎていて、雲をつかむみたいな感じで、何をどうしたらいいかわからないですよね。
でも、その中身を具体的に聞き出していくと、「何ができていて、何ができていないと思っているのか」、「形」として見えてきます。

そうすると、一口に「自信がない」といっても、実はその中には「できていることもあれば、確かに頑張りどころなところもあるよね」というのが見えてきます。そこまで見えてきたら、じゃあ具体的にどうするかを考えることができます。

部下にしても、自分は不安なのに「大丈夫、大丈夫」と言われるより、納得感を持ってチャレンジに踏み出すことができます。

相手としっかり向き合う。コミュニケーションのスタートはいつもここからです。

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それでは、また。