調べただけで話す人 vs 実際に確かめる人──違いは“説得力”に出る

突然ですが、紙コップの上部、つまり飲み口の部分は折り返されて丸くなっていますよね。

あれってなんで?(チコちゃん風)

あなただったら、どう説明しますか。

自分が紙コップのコーヒーを飲んでいる姿を想像しながら
「あの丸みがないと飲みづらいかな」
「強度が弱くなるんじゃないか」
とか
「重ねたときに取り出しにくくなるんじゃないの?」
などなど、「推測」する人もいるのではないでしょうか。

あるいは、
「紙コップの飲み口 なぜ丸い」のようなキーワードを入れてネットで検索するという人もいるかもしれません。

今はたいがいのことはネットで情報を調べられます。
実際にこのキーワードで検索すると、容器を作っている会社が「答え」を書いてくれています。

「知識」を仕入れるだけなら、それでOKかもしれません。

でも、人に説明するとしたら
「調べたところ、こういうことらしいです」
で終わってしまいます。

あくまでも、他人の情報を仕入れただけだから「説得力」がないのです。

もし今、あなたのお手元に紙コップがあったら、上部の丸い部分を切り取ってみてください。

そして、その紙コップに普段通り水やお茶を入れてみましょう。

上部の丸い部分があるときとないときとで、持ち比べてみると何がどう違うのか。

自分の体で感じることができます。

飲み物を入れる以外にも、たとえば重ねてみたときにどうなるのか。

実際に確かめてやってみると「自分の体験」になります。

「上部の折り返しがなくなると、なんともニャラニャラした頼りない感じになる」
というように、コップがどう持ちにくくなるのか、具体的に表現できます。

紙コップを重ねたときの取り出しにくさも、具体的に表現できるはず。

自分が体験しているから、自分の言葉で説明できるようになるのです。

これが「説得力」の源です。

実はこの紙コップの話、2、3年前に参加した「発想力を鍛える」というセミナーで、私自身が頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた体験に基づいています。

『経営戦略全史』などの著者である三谷宏治さんのセミナーです。

大人になると、いろんな知識や経験を持っているから「たぶん、こうだろう」と推測し、「事実」を確かめない。

「ハサミを用意しておいてくださいって言いましたよね。実際に切ってみて、確認してみたらいいんですよ」
と言われて、ハッとしました。

それ以来、
「どれだけ実際に確かめているか?」
という視点を持つようになりました。

そして、これって説得力のある話ができるかどうかにも深くかかわっていることだなと思うようになりました。

「調べる」だけで終わらせるのではなく、自分自身の「体験」にしてみる。

説得力はこういうところから生まれるし、自分の言葉で語れる人は信頼されるようになります。

自分自身で「事実は何か」を確認してみることで、あなたの説得力はもっと上がるでしょう。


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