時短勤務はキャリアの中断にならない理由

「あなたは残業ができないから、正社員ではなく契約社員として採用します」

27年前、グループ会社に転職する際の面談で人事部長から言われた言葉でした。

当時私は、大学の夜間コースに通学することにしていたので、授業のある日は残業ができませんでした。

だから、正社員にはできないと言われても仕方がないとは思いました。

でも、仕事をやり残したまま帰ることはなかったし、誰かに仕事を頼んで帰ることもありませんでした。
だから、なんか納得できない、モヤモヤした気持ちを持ったまま働いていました。

最終的には、当時の職場のトップである事業部長が
「あなたの働きぶりは見ているから」
と本社に掛け合ってくれて、2か月後に正社員になれたのです。

残業ができるかできないか、残業時間が多いか少ないかで評価されていた時代だったんですよね。

今でもまだそういう空気は残っているんだろうなと思います。

私は時短勤務をしたことはないけれど、時短勤務をしている方の中には「残業できないこと」に対して後ろめたさを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

時短勤務は働く時間が短いから「キャリアが中断される」とか「遅れをとる」みたいな見方がされることもあるけれど、私はそうは思わないんです。

たしかに、実務に関わる時間はフルタイムで働いている人と比べて少ないかもしれません。

でも、限られた時間をやりくりして仕事の計画を立て、突発で休む事態が発生したとしても影響が出ないように、資料の場所をわかりやすくしておいたり、進捗をシェアしておいたり、いろいろな工夫をしていませんか。

「〇時までに絶対終えなければならない」という制約の中で仕事をするのって、すごいタイムマネジメント力だと思います。

「時間」だけでなく、「人」「物」「お金」「情報」を活用して日々乗り切っているのではないでしょうか。

となると、これってマネジメントそのものですよね。

子育て中であれば、たとえば宿題をやらずにゲームばかりしている子どもに、どう働きかけてやる気にさせようかとあれこれ工夫していないでしょうか。

人に仕事をお願いするのが苦手でも、任せざるを得ない状況の中で「任せる」という経験を積まれている方もいらっしゃるでしょう。

これって、リーダーとして求められる力のひとつじゃないでしょうか。

だとしたら、時短勤務中の方は実務に関わっている時間は少なかったとしても、マネジメントとかリーダーシップを日々鍛えていることになるんじゃないかなと思うわけです。

だから私は、キャリアの中断とは思わないです。

先月キャリア研修でお伺いした銀行様でも、時短勤務をされている女性が何人かいらしたのですが、やっぱりどこか引け目を感じているような印象を受けました。

「どれだけ働いたか」よりも「どんな経験を積んできたか」にもっと光が当たるような、そんな世界をつくっていきたいなぁと思います。

それでは、また。

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