「説明力」とは「思考の深さ」である

「若手の説明力をアップするには、どうしたらよいでしょうか」

企業様との研修内容の打合せで、こんなご質問をいただくことが増えました。若手とのコミュニケーションに苦労している現場の方も多いようです。

若手に限らず、「説明がうまくできない」という悩みを抱えている人は多いです。

今回は「説明力」をアップするには何が必要かといったテーマについてお話します。

1.対症療法を繰り返しても根本解決はしない

まず、大事にしたいのは、「言葉の定義」です。
「説明力」といっても、解釈は人によってバラバラだからです。

「説明力」とは具体的に何を指すのか。
具体的にどのような状態になったら「説明力」がアップしたと感じられるのか。
具体的にどのような状態が「説明力」が不足していると感じられるのか。

ここを突っこんでお聞きしていくと
「そもそも、日本語の“てにをは”ができていない」
「前提を共有せずに結果だけ言ってくるから、何の話なのかがわからない」
「話の本筋ではないところに時間をかけて説明している」
「そもそも説明の内容が薄い……」
などなど、具体的な課題が出てきます。

そうした課題一つひとつについて、「こうすればいいですよ」というのは「対症療法」みたいなもの。
「やり方」ばかりを身につけても根本解決するとは限りません

やり方ばかりを学んでも、便利な「道具」を与えられても、使えなければ意味がないのです。

では、「てにをは」ができていないなら、文章の書き方から学んでもらうのか……。

そういうわけでもありません。
大事なことは「ゴールの設定」です。

2.本当に得たいものは「説明力」なのか

「若手の説明力をアップさせたい」と考えるのには、何らかの理由があるはずです。

「若手の説明力がアップする」というのが、本当にたどり着きたい「最終ゴール」ではないはずです。

若手の説明力がアップしたその先にどんな状態が実現できていたらいいのか。

その「本当に得たいもの」が何か、言葉にできていることがとても大切です。

「説明力」は、そのゴールにたどりつくまでの「手段」でしかないのですから。

そうした話をしていく中で共通点として感じるのは
「説明力が足りないのは、思考の深さが足りていないのかも」
ということです。

具体的に言うと、次の3つが欠けているか、言葉にできていないことが多いのです。

・説明の目的を理解していない
・納得して動いてもらうための材料が足りていない
・結局どうして欲しいのかが示されていない

「若手の説明力をアップするにはどうしたらよいか」
と思ったときには、この3つに焦点を当てて相手に質問をしてみてはいかがでしょうか。

「その説明で誰にどうしてほしいのか」
「相手が納得するだけの理由と根拠となる事実は足りているか」
「具体的な行動を促す言葉になっているかどうか」

ある意味「トレーニング」です。

とはいえ、難しくはありません。

「説明の目的」 「納得して動いてもらうための材料」 「相手に促したい具体的な行動」を紙に書き出すことで、自然と思考が深まっていく仕組みをつくればいいのです。

「説明の目的」は書かれているけれど、「材料」が足りていないように感じるよ。

目的も材料も揃っているけれど、結局何をして欲しいのかが明確じゃないように感じるよ。

紙に書き出されていれば、目に見えるので、足りていること、足りていないことを具体的に伝えることができます。

どんな風に書き出すのか。具体的な書き方などは講座でお伝えしています。

ご関心のある方は、ぜひ
「方眼ノート1DAYベーシック講座」
をご覧くださいませ。


著書『賢い人のとにかく伝わる説明100式』の内容を凝縮した研修や講演を承っております。

詳しくはこちらからお問い合わせくださいませ。