この夏、街で「仮免」の札を付けた教習車とたびたび出くわしました。夏休みを利用して合宿で免許をとった学生も多いのでしょうね。
そうした新人ドライバーとベテランドライバーは、何が違うでしょうか。
交通規則なんかは、免許取りたての人の方が私より詳しいと思うし、運転技術とか車幅感覚とか、ベテランだから新人より上かというと、必ずしもそうとは限りません。
となると、圧倒的な違いは「経験」、特に「判断力」です。
その判断力がベテランと新人とでどう違うのか、その差がわかれば、新人ももっと早くベテランの域に達することができそうですよね。
実はその差を知る方法があります。
1.「差」を見える形にする
「判断力」のような「見えないもの」の差を知るために大事なことは、「見える形にする」こと。
自動車の運転に関して言えば、目や視線の動きをマークで示す「アイカメラ」を装着して運転すると、ベテランと新人とでは明らかな差があるのです。
私は学生時代、この研究をしている先生のところで学んでいました。授業を聞いたり、実験の手伝いをする中で知ったのは、ベテランドライバーはあちこちに視線を向けているということでした。
運転中だから前方を見るのは当然ですが、ベテランドライバーは、バックミラーを見たり、メーターを見たり、サイドミラーを見たりと、目があちらこちらに向けられます。一方、新人ドライバーは、前方ばかり見ていて、後ろや横を見ていないというように、ベテランほど目が動いていません。
つまり同じ状況にあっても、「見えているものが違う」(新人には見えていないものがある)ということなのです。さらには、「見ているものの解像度」も違います。
このように「差」が見える形になると、何を強化したらよいのか、ベテランはなぜそうしているのか、言葉にしやすくなります。
そしてこれは、日常の仕事においても同じことです。
2.「とらえている事実の違い」に注目する
長年培ってきた経験や勘、キャラやセンスでやっていることって、人になかなか伝えづらいですよね。
結局、「○○さんだからできるんだよ」という結果に落ち着くことが少なくありません。
これを解決するには、ベテランと新人との間、あるいは、上手くできる人とそうでない人との間にある「とらえている事実の違い」を見える形にすることです。
たとえば、ベテラン営業マンと新人営業マンでは、お客さんの何を見ているのか、お客さんのどの言葉に反応しているのか違いがあるはず。
何か上達したい・してもらいたいことがあれば、「経験」や「勘」、「キャラ」や「センス」という「見えないもの」に注目するのではなく、「何を」見て、聞いたのか、それぞれがとらえた「事実」の違いに注目するのが近道です。
もしあなたがベテランで、無意識にできていることを後進に伝えなければならないとしたら、自分はどんな事実に着目しているのかを意識して書き留めておくといいですね。
そんなときには、方眼ノートも役立ちますので、具体的にどう書いたらいいの? と思われた方は、ぜひこちらもチェックしてみて下さいね。
それでは、また。