「女性」の中にも多様性がある―「違い」を売りにする

先日、独立行政法人国立女性教育会館理事長を務める萩原なつ子さんを交えた打合せに参加して、大いに刺激を受けました。その中でも特に心に刺さったお話を紹介します。

そのお話とは、「ひと口に女性といっても、女性の中にも多様性がある」というもの。

今、「女性活躍推進」とか「ダイバーシティ」とか、あちらこちらで話題になっています。

私自身も新任の女性リーダー向けに本を執筆中ですが、正直なところ私の中では、ずっと小さなトゲのようなものがひっかかっている感じでした。私がそういう場に出て行っていいのかなという小さな疑問です。

もう何度もこの疑問とぶち当たり、そのたびに「私は私でいいんだ」と納得してきてはいるものの、抜け切れていない感じだったのです。

私には出産・育児の経験がない。
結婚制度に縛られてもいない。

これです。

自分のことは全部自分で決められる。
そして、昭和の時代のモーレツ社員のような私です。

「そんな頑張ってどうするの」とか「もっとゆるまないとダメ」とか、そういう感じのことを言われる世界では逆に生きづらい。

だから、今の時代、肩身の狭い思いをしているかつてのモーレツ社員だった男性たちの気持ちの方が、よく理解できちゃったりします。

そんな私が、「女性」という立場で出て行っていいのかなぁと、どこかでチラっと思うんですよね。なぜなら、女性の活躍推進だとか働き方改革だとか、少子化対策とセットみたいな感じだからです。

実際、ワンオペで頑張っているワーママのお話を聞くと、「私にはできなかっただろうな」と思うし、ワーママをしていない私の話なんて説得力ないよなぁと不安になります。

でも!

そんな私の不安を吹き飛ばしてくれたのが萩原先生のひとこと。

「女性の中にも多様性がある」

結婚している人、していない人
子どもを持つ人、持たない人……
子どもを持ちたかったけど持てなかった人もいます。

皆それぞれで、皆それでいい。

心がスーッとしました。
女性にも色々あるよね。
そこを認めていなかったのは私自身だったんだと気づきました。

私は私。
多数派ではないかもしれないけれど、そんな私から見える世界を発信してもいいよねって、心の底から思うことができました。

女性リーダー向けの本を書くときも、育児との両立っていう部分はおそらく核心となるテーマだけど、自分の体験は書けないということに、私は一抹の不安を感じていました。

「他の人の事例を紹介するしか……」という私に、編集者さんは「別にそこにこだわらなくてもいい」と言ってくれました。

たしかに、結婚、出産といったライフイベントが自分のキャリアにどう影響するのか、そこに不安を抱える女性がいる一方で、そうじゃない女性もいるはずです。「女性リーダー向けといっても、色々な本があってもいいんじゃないって思うから」と言ってくれた編集者さんの言葉。その言葉がようやく腹落ちした私。今勇気100倍、もりもりです。

「違い」はデメリットなんかではなく、チャンスなんだと思います。

あなたにある他の人と違う点は何ですか。
それがあなたの「売り」かもしれませんね。

ただいま第4章を執筆中。全体の半分くらいまで進んだ感じでしょうか。
女性リーダー予備軍となる若い世代のお話も聞かせて頂きながら書き進め、来春、不安を抱えたままリーダーとなった女性にお届けできるよう、あとひと頑張りします。